インクルーシブ教育のための組織作り


あたしは「みんなで一緒に何かをやる」ということが苦手だった。

集団の中で誰かに何かを決められて、やりたくないことをやらなくちゃならなかったりする状況は本当に耐えられない。
自分がやりたいことを、自分で集団を動かしてやるのは好き。つまり、自分で目標設定ができている場合は動けるんだけれど、目標設定ができていない場合(=自分にとって利益がない、興味がない、つまらない)は大変。
「みんながやっているからやる」とか「仲良くしなくちゃだめ」みたいな、自分にとって利益が見えない状況がすごく嫌だった。自分がすごくやりたい「何か」のために一緒にやったり、仲良くするのはできるんだけれど。

それは大学に入ってからもそうだったし、今でもそう。意味がないと感じる飲み会は行かない。
付き合いで行く、とか本当に辛い。

だから一人で好きに研究できそうな博士課程への進学を選んだ…はずだった。

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が。

最近は「集団」…というより、「組織」の面白さを感じている。

そして、あたしが一番関心のある「教育」は、組織作りや意味のあるコラボレーションなしには語れない(大事なのは「意味のある」コラボレーション。意味のないコラボレーションはいらない。)


ひょんなことから、いま組織にいるが、組織でしかできないことがたくさんあるってことを改めて感じている。一人でできることはやっぱり限られている。
ただ、その中で自分の目標を達成していくためには、まずは組織自体の「理念」が自分の目標と合うものであり、そこで更にやりたいことをやっていくためには、チーム作り、そしてそれを促すマネジメントが鍵になってくる。

組織の中にいる人全てが「幸せに働ける」ような。理念やビジョンの浸透、モチベーションの維持、風通しの良い関係性ができるようなマネジメント。そしてそういう環境が持続可能であること。

特に対「ヒト」がメインとなる組織は、組織の中の人が笑顔で幸せに働けていないと、その先にいる利用者やお客さんを笑顔にできるわけがない。

その場合特に、マッチョなマネジメント(個人攻撃。できないのをその人のせいにして、つめる)では、「幸せに働ける」環境は築けない。
個人攻撃は新たな個人攻撃を生むだけ。そのような組織では誰もが「他人のせいにする」ことが当たり前の文化ができてしまう。

マネジメントする人は、組織の中の人の得意不得意をアセスメントして、みなが楽しく働けるような環境(文化づくりも含め)を整え、さらにそれを持続可能にするようなスキルが必要である。

…これってつまり、特別支援教育で重要とされていることと同じじゃん!


非常に面白い。

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学校で起こっている問題を聞くと、それは特別支援教育どうこうの問題ではなく、組織作りの問題ではないのか、と最近よく感じている。

学校の先生が笑顔で楽しく働けていないと、子どもたちが笑顔で学べるわけがない。
基盤としての健全な組織がないと、RTIやPBISといったスクールワイドなアプローチをしても、意味ないのではないか。
情熱をもって先生になった先生が情熱を失うようなシステムは、良いシステムではない。

学校だけではない。施設も。

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全ての学習者にはニーズがあることを前提としているインクルーシブ教育の方向へ進んでいくためには、いろんなレベルでの組織作りが欠かせない。

そう思うと、当然果てしない気もしてくる。

が、できることをやっていると、すごく楽しい。

なによりも、子どもたちから得られた視点が、組織作りに活かせるので、本当に感謝。

ただ「みんなと一緒にやる」のではなく、そこに組織作りやマネジメントという視点があると、面白さが増すばかりか、やりたいことをやるための手段となり、最強の武器にもなる。


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